2017/10/10
日々の仕事をやり遂げるために、どのような心構えが必要なのか?(2)
前回ご紹介した「超一流になるには、才能か努力か?」を読んでいて、「優れた音楽家は自分のミスに気づく」という記述に出会いました。その時、高校野球で、 ミスをして監督に叱られている選手の姿が思い浮かんで来ました。たいていの場合、監督が𠮟るのは、ミスをしたことではなく、選手自身がミスしたことに気づかないからです。ミスを選手が自分で気づかないと、同じミスを繰り返す確率はグーンと大きくなるからです。そのイメージと重なったのが、上司に叱られている部下の姿です。スポーツと違って、仕事は瞬時のプレーで成否が決まることはほとんどなく、ある一定の時間をかけますので、自分でミスに気づけば、修正が可能です。例えばメールの送信先を間違えた時も、すぐに気づけば対処可能です。それに気づかず、お客様のクレームが入って初めてミスに気づけば、上司に叱られることになるでしょう。日々の仕事をキチンとやる人はミスを全くしない人ではなく、ミスに自分で気づく人だと思い至りました。自分の仕事人生を振り返ると失敗の連続で、このような文章を書くことに気がひけるのですが、55歳を過ぎて大きな失敗が減って来たのは、日々の仕事で、自分のミスに気づくようになったからだと思います。
それでは、どうすれば自分でミスに気づくようになれるのでしょうか?当たり前の話ですが、ミスか、そうでないかは、ミスをしていない状態を知っておく必要があります。「超一流になるには、才能か、努力か?」では、心的イメージが超一流の人には出来上がっていると書かれています。心的イメージというのは成功イメージと言い換えても良いでしょう。完全に目標を達成している状態だけでなく、そこに到達するプロセスも鮮明に思い浮かべることができるという意味です。ミケランジェロは、大理石の塊の中に、完成すべき彫像が見えたと言っていますが、仕事のよくできる人はミケランジェロと同じで、仕事に取り掛かる前に、心的イメージができあがっているのでしょう。
ミスを自分で気づくためには、仕事の目的、そこにたどり着くまでのチェックポイントをしっかりとイメージして取り掛かる習慣を身につける必要があります、経営用語で言えば、KGI(Key Goal Indicator重要目標達成指標)とKPI(Key Performance Indicator重要業績評価指標)をキチンとデザインして仕事をすると表現できるでしょう。要するに、準備をしっかりしてから仕事に取り掛かりましょう、という平凡な結論になります。ただし、平凡な結論ほど実践が難しいというのが、この世のならいです。どうすれば、実践できるのかを次回に書かせていただきます。