2013/4/14ソチで感じたこと(1)
2014年の冬季オリンピックは、ロシアのソチで開催されます。オリンピックの前年には予行演習をかねて、開催地で国際試合が開催されます。スピードスケートは3月22日(金曜)から24日(日曜)まで、世界距離別の試合が開催されました。種目別に、2012年度の世界最高の選手を最終決定する重要な試合です。私は日本電産サンキョー・スケート部のメンタルコーチとして、3月14日から25日までソチに滞在しました。ロシアのモスクワやセントペテルブルグに行った人は多いでしょうが、ソチまで行った人は少ないと思います。少なくとも私の周囲では皆無です。
<写真>ソチ市街の観光スポットにて。どこもかしこも道路を掘り返していて、工事用のシャベルカーやトラクターは韓国の現代製が目につきました。
「ソチを一言で説明せよ」、と言われたら、「工事現場の中の熱海温泉みたいなところ」と私なら言います。熱海温泉は、日本では団体旅行が減って、温泉地として、最近元気がありません。数年前、熱海温泉に泊まったことがありますが、街の至る所で廃業した旅館やホテルが風雨にさらされていました。(最近は、街の状態はよくなったでしょうか?)ソチも、熱海と同じで、海岸沿いにあり、海岸から少し離れると丘陵や山地が広がっています。熱海ほど山が海に迫っているところは少ないです。ロシアでは保養地として知られていますが、古い建物は廃墟のようになり、道路もアスファルトが割れて、デコボコだらけです。来年オリンピックがあるということで、道路や建物の建設ラッシュで、工事をしていないところがないほどです。したがって工事から生じる粉じんがものすごく、おまけに自動車も排気ガス規制をしていないようで、空気が悪いのには閉口しました。
<写真>おなじみのマクドナルドだが表記はロシア文字になっています。
私は東京オリンピックの年に東京で大学生活を送っていました。当時の東京もいたるところ工事中でした。しかし、ソチは、当時の東京ほど活気が感じられないのです。活気というよりも、希望と言い換えたほうがよいかもしれません。その原因の一つは、建設途中で工事をやめてしまった建物がたいへん多かったことです。オリンピックを引き金にして、リゾート開発をおしすすめ、どんどん高級マンションやホテルを建設しているのですが、その横に、工事半ばで放置された建物が必ずといってもよいくらい見られました。不思議な光景です。私の古い記憶では、東京オリンピックの前には、戦後の焼け残った建物が、新しく生まれ変わりつつある街に散在していましたが、工事半ばで投げだしたような建物が併存する光景はなかったと思います。ただし、日本でもバブル経済が崩壊したあと、地方で建設を中断して廃墟になった建物を見かけたことがありました。ソチでは、錆びついた鉄骨がむき出しのまま放置された建物が至るところにありました。そのため地域全体の印象が暗くなりました。
私はロシア経済については何も知りませんので、あくまで直観にすぎませんが、「オリンピックに便乗した不動産業者の欲望が暴走している土地」というのが正直な感想です。