2018/7/22

家族関係のシェアエコノミー




 自動車や自転車のシェアエコノミーはどんどん進化しています。空き家の増加で、不動産も以前のような価値がなくなり、借家や賃貸マンション、シェアハウスなどが主流の時代が到来するかもしれません。家族のシェア化は起こりうるのでしょうか?

  日本では大奥、中国では後宮、トルコやエジプトではハーレムがあり、権力者が複数の女性を独占していました。この現象は、見方を変えれば、複数の女性が、富と権力をもつ亭主をシェアしていたと言えます。ロシアのエカテリーナ女帝は、夫を殺害し、複数の愛人を持っていました。これも見方を変えれば、複数の男性が富と権力をもつ女性をシェアしていたことになります。男女関係のシェアは歴史的に実在したと言えるかもしれませんが、富と権力に縁遠い私にとっては、富と権力が介在して作り上げられた人間関係を家族と言うことに抵抗感があります。

  最近、結婚しない若い人たちが増えています。その理由の一つに、子育てにお金がかかりすぎるというのがあります。子どもは欲しいが、経済的な余力がないというカップルは、子どもを複数の家族でシェアすれば良いと考えるようになるかもしれません。血の繋がりは親子関係に不可欠なものではありません。子どもを養子縁組して育てる同性婚のカップルも増えるでしょう。多様化(ダイバシティ)が現代社会のキーワードの一つですが、これまでになかった家族が誕生し、これまでになかった心理上の問題が生まれるでしょう。それとともに、頑なにまで保守的な家族観を持つ家族も存続するでしょう。もしかしたら、期限付きの家族も登場するかもしれません。ある年の夏だけ家族として過ごし、夏が終われば解散するような家族です。家族のメンバーを紹介したり、創造する企業も産まれそうです。派遣父親、パート母親、非正規ジージー、バーチャル子ども、Ai孫が同じ屋根の下に暮らすことが当たり前になるかもしれません。

 家族が神聖視されなくなった新たな時代には、さまざまな心理的な葛藤が新たに誕生するでしょうが、多分、大部分の人間はそのような状況に慣れると思います。人間の適応能力の高さには目を見張るものがありますから。