2010/4/14
番外編:今こそ”ジュニア”を育てていこう!
国の将来は、その国の若い人たちにかかっています。同じように次のオリンピックでメダルがとれるかどうかは、現在の中学や高校で活躍しているジュニアの選手にかかっています。スピードスケート競技に限って言えば、バンクーバー・オリンピックでメダルをとった国のなかで、ジュニアの選手層の育成が最も遅れているのは日本ではないかという危機意識が私にはあります。韓国、中国、アメリカ、オランダの強豪国には、有望な若手選手がたくさんいます。ジュニアから強い選手が育ってきますと、ベテラン選手がのんびり構えていられなくなり、厳しい生き残り競争が始まります。国内で死に物狂いの戦いを展開しないと、国際試合の過酷な戦いの場で勝ちぬくたくましさを育てることが難しくなります。スピードスケートのメンタルコーチとして、ソチまでの4年間は、時間が許す限り、中学や高校の指導者の方たちといっしょにいて、心理面からのサポートをしたいと願っています。
ビジネスの世界でも同じことが言えます。若い人たちの海外留学が減少しました。海外の大学キャンパスでは中国人や韓国人は多いですが、日本人はめっきり減りました。大学で教えていても、中国や韓国の留学生の多くは日本人の学生よりも勉強をします。締め切り日までに留学生はきちんとレポートを提出しますが、日本人学生のなかには、締め切りあとで、なんとかしてほしいと泣きつく人もいます。(留学生は泣きつく語学力がないという見方もできるかもしれませんが、私が会った留学生はみんな日本語が上手でした)日本の若い人たちの素質が悪化したのではなく、日本の教育が遅れているからだと私は考えています。
グローバル化が進んでいると言われていますが、企業活動のグローバル化の実態は世間で考えられている以上にすすんでいます。英語で会議を開くとか、社内文書が英語と日本語の併記である企業の数が確実に増えています。英語でemailのやり取りを毎日することはビジネスパーソンにとって日常風景になってきています。しかし学校教育のカリキュラムの変化は、時代の変化よりもはるかに遅く、化石的な授業が学校現場で行われています。英語教育は相変わらず文法中心で、音声トレーニングの質と量は不足しています。世界史を例にとりますと、人類の発生から教えられるために、年間の授業時間数が不足し、イスラムや第二次世界大戦後のアフリカ、アジアについて詳しく学習することができません。トロイ戦争について歴史の先生から話を聞いた学生はいるが、中東戦争の話を聞いたことがある学生は少ないと思います。現代のビジネスの現場では、トロイ戦争の知識よりも、中東戦争についてしっかりした知識を身につけることが重要です。(最近の高校のカリキュラムは古代史、中世史、近世史、現代史にわけて選択できることもできるようになりましたので、その点は進歩です。しかし、紀元1000年以前の歴史は大学で学習するか、個人的に学習するほうが、現実的だと思います。まして大学の入学試験に古代史を出題する必要はないと個人的には思います)
時代が変われば、若い世代を育成する方法を変えるべきだと思います。スポーツ界はグローバルな競争を行っていますので、トレーニング方法が時代遅れだと、あっと言う間に没落します。その点、学校教育はグローバルな競争が行われていることに気づきにくいです。教育関係者は教育もグローバルな競争時代に突入していることをもっと強く意識していただきたいと願っています。