2018/6/18

シェアエコノミーの心理学(1)




 ビジネス界のトレンドの1つにシェアエコノミーがあります。もっとも成功したビジネスモデルの1つはUberでしょう。アメリカで実際にUberのサービスを体験した人は、その便利さと品質の良さを絶賛していました。

 例えば空港からホテルに行きたいとき、スマホからUberにアクセスすると、何分後に、どんな運転手(顔写真が表示)で、どんな車(これも写真)で、ナンバープレートが何番で、料金がいくらくらいでという情報が届きます。その車が、現在空港からどれくらいの距離を走っているかもわかりますので、寒い時などは、建物内で待機して、車が到着する寸前に、乗り場に行けば良いわけです。乗ってみてサービスの評価をして、Uberに送ります。評価の低いドライバーには仕事が依頼されなくなります。反対に乗客の評価を運転手がしますので、評判が悪い乗客はUberのサービスが受けられなくなります。IT技術が発達したからこそ、可能になったサービスです。自家用車がタクシー機能を持つことで、私たちは、他人の自家用車をシェアして、車の利用効率を高めていることになっています。

  それでは、心理的にみて、Uberが可能になった背景は何でしょうか?私は、車がステータスシンボルでなくなったからだと思います。私が小学生だった1950年代は、日本で自家用車を持っている人は一部のお金持ちに限られていました。そのような時代に、大金持ちが自分の車に、見ず知らずの人間を乗せて、乗車代を取るなんてことは、夢にも思わなかったでしょう。もちろん、現代のアメリカで、Uberで車を呼んだら、トランプ大統領が運転していたなんてことは起こりませんが…。

 シェアしようとするモチベーションは、ものやサービスがコモディティ化し、独占して所有する意味がなくなった時か、極端にものが欠乏した時に起きると思います。空き家が増え、不動産価格が低迷すれば、シェアハウスが広がるでしょう。最近は、工場もシェアして、稼働率を高くしようとする動きが活発になっています。オートメーション化が進み、企業独自のものづくりノウハウに価値がなくなったことと、商品の寿命が短くなり、技術情報も短命化しているからでしょう。ここまでは経営学や経済学の領域で、私の専門領域外ですが、心理学ではどのような問題が考えられるでしょうか?

 家族関係のシェアが進展するか、どうかというテーマについて、私は考えています。このことについて、次回に書かせていただきます。