2014/7/6インドにて(4)
インドを訪問して、理解できなかったのがカースト制度です。わたしは中学や高校で、「カースト制度は、人びとをその生まれによって差別する、悪い制度である」と学んだ記憶があります。インドはひどい国だなあ、と記憶に刷り込まれました。その後、マザーテレサの活動などがマスコミで報道され、ますますインドは貧しく、人びとが不当に差別されている国という印象が強まりました。
訪問してみると、貧しい人も確かにいるが、一般の人々は、明るく親切で、日本よりも万事がのびやかです。あれっ?と思いながらインドでさまざまな研修を通してインドの人たちと交流を続けました。決定的だったのは、ニューデリーにある聖ソフィア女子大学での、カースト制度に関する講義でした。聖ソフィア女子大学は、日本の聖心女子大の姉妹校で、インドの名門女子大です。カースト制度の権威という教授が、その講義のなかで、「インドではカースト制度はなくならない」と明言したのには、びっくりしました。どうやら自分はカースト制度を誤解していると感じて、帰国してカースト制度の本を読みました。それでもよくわかりません。日本在住のインド人にお目にかかって話を聴いたのですが、ますます謎は深まるばかりです。インドという様々な人種、様々な宗教が渦巻く国の統一を保つためには、カースト制度は必要なのだ、という感じなのです。
現在でも、カーストが違えば、結婚をすることは極めて困難です。ITなど新しい仕事が増え、昔よりは職業選択の自由はあるものの、依然としてカーストによる職業制限は残っています。一体、どうなっているのだろう?と疑問に感じたまま、今日に至っています。現在の中学や高校では、インドの歴史はどのように教えられているのでしょうか?もし、私たちの若いときと、内容が変わらなかったなら、改定すべきと思います。今回でインド訪問記を終えます。終えるにあたって、「インド旅行をすることを人に薦めますか?」と質問をされたら、私は躊躇なく「イエス」と答えます。インドを訪問した人は、インドを大嫌いになるか、大好きになるか、どちらかに分かれると言われています。私は正真正銘の大好き派です。