2013/11/26タイムリーヒットの打てる選手の育て方(2)
チャンスに好打が打てる選手は、打席にたつと迷いがみられません。迷いをなくす心理的な要因として、まずセルフ・エフィカシー(自己効力感)が挙げられます。セルフ・エフィカシーについては、このHPでもしばしば触れてきました。セルフ・エフィカシーの提唱者のバンデューラーは、セルフ・エフィカシーの源泉として、①挑戦すること ②代理的な体験と学習 ③心からの応援 ④生理的、情動的情報の4つをあげています。バンデューラーの考えに、私なりの考えを加味したものが下記の図になります。
セルフ・エフィカシーを高めたあと、チャンスがきたとき、迷わず打席に立つためのこころの状態を創り出すために、何が必要でしょうか?私がメンタルコーチをしている高校の指導者の方から聴いた話を総合すると、「試合の流れを『俯瞰』し、いくつかの仮説をたて、その一つを、根拠をもって選択し、結果は自分で責任をとる」心構え(マインドセット)をつくることになるでしょう。
この心構えはビジネスでも同じだと思います。優秀なビジネスパーソンは、多かれ少なかれ、ビジネスを俯瞰することができますし、複数の仮説をたて、根拠と勇気をもって一つを選び、やりきることができる人たちです。結果についても、自分の責任だとはっきり言い切れる人が多いです。
選択肢(仮説)を複数考え出す、という視点は、サムスン電子の経営幹部として活躍された方のお話からヒントを得ました。サムスン電子の創業者イ・ゴンヒ氏は、非常に優秀な参謀スタッフを抱えていて、何かを決断するとき、彼らの意見を良く聴いたうえで、決断するそうです。決めるとき、参謀たちからの提案された複数の仮説を検討する前プロセスを組み込んでいるところがすばらしいと思います。
それでは「俯瞰」「仮説」「選択」「責任」というキーワードが、選手の身となり、肉となるためには、どのようなトレーニングが必要でしょうか?