2013/6/9ソチで感じたこと(5)
トルストイの名作「アンナ・カレーニナ」で、ロシアの農民の底抜けの善良さが描かれている場面があります。今回のソチで、「こんな善良な人がこの世に存在するのだ」と感動しました。
ロシアの普通の人々がどんな暮らしをしているのかを知りたくて、人気のあるスーパーマーケットに行こうと思いました。プレオリンピックをサポートするボランティア組織の事務局がホテルに置かれていました。ここの窓口の女性もとても親切で、英語も堪能です。彼女に「大きなスーパーはどこにありますか」と質問をしたら、車で30分くらいいった町(ソチ市街とは反対にある、スケートリンクの近くにある町です)にあるとのことです。「歩いて行けますか」と聞きますと、それは無理だ、とのことでした。ぼくががっかりした顔をしますと、すかさず、ボランティアに頼んで車で連れて行ってあげるといってくれるのです。渡りに船と気軽に頼んだら、30人くらい乗れる バスがやってきました。それにぼくが一人だけ乗り、スーパーへ連れて行ってもらいました。このバスの運転手が、トルストイの小説にでてくるような善良な人でした。年齢は50歳~60歳くらいの男性です。英語はまったく話せないのですが、一所懸命ぼくに話しかけるので、ぼくも日本語で答えていましたが、不思議なことに、何となく意思疎通ができます。年齢も近かったせいもあるかもしれません。私がスーパーを見学している間、1時間くらいでしたが、ずっと待っていてくれて、ホテルまで連れ帰ってくれました。結局3時間くらいいっしょだったのですが、いつもにこにこして、とても恥ずかしそうにロシア語でぼくに話しかけて、こちらが不自由を感じないようにサポートをしてくれました。いっしょにいて本当に気持がなごみ、このような体験は外国では初めてでした。
スケートの会場でも、とても親切な人に出会いました。世界距離別2日目です。リンクにはたくさんのボランティアの人たちがいました。会場警備や観客の案内をしていました。この日、50歳くらいの女性のボランティアとしょっちゅう目があって、そのたびに挨拶をしていました。試合が終わり、ホテルに戻ろうとすると、その女性がぼくを呼びとめて、帆船の写真のカードを手渡して、何かロシア語で言っています。どうやらプレゼントのようで、まわりにいるボランティアの人たちもにこにこしています。とっさにポケットをさぐったのですが、日本のバッジやカードなどを持っていなかったので、ご厚意をいただくだけになったのは残念でした。いただいたカードは暖かい思い出とともに、大切に持っています。
ロシアの人に聞くと、ロシアには日本に親しみを感じている人が多いそうです。もちろん悪い人もいっぱいいるから用心しなさいと、忠告されましたが・・。