2011/3/31

「宝塚ボーイズ」見学レポート(3)

【~基礎を大事にする練習~】

1) 守備練習

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左右のバランスをきちんとって投げる、受けるができるようにするための基本練習です。

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ボールを転がし、グラブを使わずのとる練習ですが、そのとき身体は地面と平行になったままで、繰り返し、繰り返しボールのやりとりをします。非常に苦しい練習のようですが、この基本練習を通して正しい捕球姿勢を身につけることができます。奥村さんのお話によると、日本のプロ野球でも、アメリカのメジャーリーグでも、キャンプでは、このような基本練習が一番重視されているとのことです。
キャッチボールでは、右投げ選手は、右足を一歩踏み出して、左投げ選手は左足を一歩踏み出して捕球する基本動作を徹底的に行います。そうすると捕球から投球へスムースに移ることができます。この基本動作ができる選手は、高校野球の強豪チームでもまだ少ないのだそうです。プロの一流選手の基本動作を子どものときから繰り返すことで、合理的な身体の動かし方ができるようになります。

(2)打撃練習

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トスバッティングの風景ですが、バットにご注目ください。竹製のバットが使われています。重さは900~1000グラム。普段の打撃練習のときは、すべて竹製バットです。金属バットと違って、真芯で球をとらえないと、飛びませんし、手への衝撃が大きいです。選手たちの手から血が流れているのも目にしましたが、奥村さんは、本物の野球技術を身につけるためには一切妥協しないという姿勢を貫いています。練習時の奥村さんの顔は非常に厳しく、選手たちにも厳しい言葉が飛びます。

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このときはゆるい球を打つ練習で、このあと速い球をうつ練習をしていましたが、両方とも、右打者はセンターからライト方向へ、左打者は、センターからレフト方向へ打つ練習でした。この練習が12月から2月まで続けるとのことです。これもイチロー選手から取り入れた練習方法です。イチローは試合まえのバッティング練習では、センターからレフト方向への打撃を繰り返し、身体からバットを押し出す感覚をしっかり感じ取ります。そのうえで試合に臨みますので、自然のバットの振り方が手打ちでなくなります。ここにも正しい基本練習が行われています。


(3)考える野球

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この日は、ランナー満塁で、奥村さんが1球、1球、違うポジションにノックをして、守備側がどのような守備をするのかを考えさせる練習をしていました。どこにノックをするのかはわかりません。間違った守備をすると、選手たちは集められて、奥村さんから質問攻めにあいます。奥村さんは正解を言わず、選手たちから正解がでるまで、選手たちに考えさせます。次のノックまで選手たちだけでミーティングをして、どうすればよいかを考え、次のノックに備えます。ときには昼ごはんの間に選手たちに考える時間を与え、午後にもう一度同じ形式の練習をすることもあります。この考える練習を通して、選手たちは自分たちで考える力を身につけます。レギュラーの選手だけでなく、コーチボックスに立つ選手も野球をよく知っていて、的確な指示を出せるようになります。

<見学後記>
 今回の見学は、スポーツだけでなく、ビジネスでも学ぶべきことが多く、非常によい勉強になりました。指導者としてのプロフェッショナルな知識や体験、さらに情熱、創意工夫など、自分の至らなさを痛感しましたし、学ぶべきことがまだまだあると実感しました。
メンタルコーチとして、監督、コーチ、選手たちが、練習だけでなく、人間としての姿勢もきちんとしたものにするにはどうすればよいかについて、もっと考えねばならないと思っています。そのためにも私自身がまず人間としてきちんと生きていくようにしなければならないと思っています。奥村さん、ありがとうございました。