2012/3/15

韓国のスピードスケートの強さの秘密(2)

 <マネマネマネ:ボランティアではメダルはとれない>

まずは懐かしのメロディーから。スウェーデン出身の人気グーループ「アバ」のヒットソング「マネ、マネ、マネ」です。アバの歌の趣旨とは正反対かもしれませんが、世の中はお金がないと何ごとも始まりません。お金がないとメダルが取れないと韓国は割り切っています。韓国の一貫指導体制をごらんください。

この一貫体制の中核は、学校制度ではなく、韓国社会特有の人脈です。人脈に学校制度が乗っかっている感じです。人脈と学校制度の複合体に、地方自治体、競技団体などが、有力な企業からの献金などを受けつつ、コーチや選手の経済的サポートを行っている図式です。




 日本と韓国の一番大きな違いは、コーチ(指導者)の待遇です。スケート部がある学校には、必ずといってもよいくらい、専門のコーチがいて、生徒を指導しています。コーチは1年契約の有給職員(日本円で10万円くらいの月収)です。コーチは、体育大学や競技団体の推薦をもらって就職をします。推薦者は、全教授のように、たくさんの弟子を多数育てた有力者です。有力者ごとの系列があります。バンクーバーオリンピックで3つの金メダルをとりましたので、全教授の教え子がヨーロッパや中国に派遣され、全教授はインターネットを通して、教え子たちの相談に乗っています。学校と契約しているコーチは、担当のスポーツの指導をしているだけでよく、普通の授業を受け持っていません。日本では、教員の私生活の犠牲のうえで、学校のクラブ活動が行われていますが、韓国は分業体制が出来上がっています。

 個人のボランティア精神にたより、個人の家庭生活を犠牲にした日本の指導体制は、世界で戦うためには、すでに限界に達していると私は考えています。ビジネスと同様に、スポーツ界も用具の改良、革新的なトレーニング方法の開発など、急激に進化していて、競技のことだけに集中しないと、世界のすう勢には追い付きません。