2011/11/26

創造性の乏しい人

 創造性のかたまりのような人が、わたしの知人に何人かいます。天才だとわたしはひそかに舌を巻いている人たちです。発想の豊かさ、視点の多様さ、そして一見関係がないものを結びつけて、そこから誰もが考えつかないことを創り出す能力が卓越しています。たまたまかもしれませんが、彼らの(女性もいますので、彼女たちかもしれませんが)話し方に共通点があります。自分の考えを話しだすととまらなくなることと、「~、~、~、・・」がえんえんと続くことです。逆は真ならずで、これらの2つの条件を満たす話し方をする人全員が、創造性の高い人とは限らないので、創造性のある人の見分け方とまでは断言できないようです。

 創造性の豊かな人は、常日頃から、自分の仕事に関してもいっぱいアイディアをもっていますので、話し出したらとまらないのはうなずけます。かれらのすごいところは、話しながらも、どんどん新しいアイディアが思い浮かんでくるところです。そのことと「~、~、~、・・」、つまり「。」で文章がきれず、えんえんと「、」で話がつながっていくことは関係があるように思えてなりません。

 私たちは、知識や考えを頭脳にデータとして貯蔵するとき、ひと固まりの概念(コンセプト)として蓄積しているようです。たとえば創造性という言葉も、単なる言葉としてではなく、創造性がある人の特徴、創造性とは何かを理解しているきっかけとなった経験、書物や人から教えられた創造性とは何かについての情報などが、渾然一体となって、記憶していると思われます。そのような概念を整理するために、共通性の高いものをグループとして集めています。私がこの文章を書いているのは、主として、心理学というグループにまとめられた概念をつかって説明をしています。
創造性があまりない人は、グループとグループの壁が厚く、ほかのグループにある概念と結び付けることができない人だと思われます。そのことを図に表わすと、次のようになります。



 グループ間の壁が厚く、たとえば、概念1と概念13が容易に結び付きません。ある概念をつかって、自分の意見を述べようとしたとき、結びつく概念の数が少ないため、話し言葉も短めの文章になり、「。」で切りにくいのではないか、という仮説をたてています。それに対して創造性が豊かな人についてどう考えればよいのでしょうか?