2019/6/27

どうすれば失敗から学ぶ習慣を身につけられるのか~成功するための3つの鉄則の1~(2)<失敗から学べる人と学べない人>




失敗から学べない人に共通する特徴は、

①失敗の原因を見つけるのが下手
②失敗の原因を短時間に、一挙に解決しようとする

の2つと私は考えています。失敗の原因を見つけるのが下手な人は、失敗の原因をたくさん見つけようとしないで思い込みで1つか2つくらいの原因をあげ、それが原因であるに違いないと思い込む傾向があります。勉強が不得手な子どもが『自分は頭が悪いから成績が悪い』と思い込むのと同じ傾向です。それに対して失敗から学べる人は、いろんな視点からたくさんの失敗の原因を考えたうえで、自分の力で解決できる原因に絞り込み、それらの原因を一つひとつ時間をかけて解決していきます。自分が見つけた原因は仮説と考えて、仮説検証のプロセスを学習に組み入れています。

失敗から学べない人のもう一つの特徴は、失敗の原因を短時間に解決しようとすることです。売り上げ低迷に悩む営業パーソンが、売れない原因を自分のコミュニケーション能力の不足と判断して、コミュニケーション講座に通って講座を修了してもいっこうにコミュニケーション能力が上がらず、諦めてしまうなどがその例です。コミュニケーションは子どもの時から日常で使っていて悪癖も含めて心に沁みついていますし、悪癖があってもそれなりに有効なところもあります。それゆえ、1年や2年くらいで簡単に上達しません。ましてやコミュニケーション講座を受講してすぐに上達しようと思うのは現実的ではないでしょう。失敗から学べる人は、先に述べたように仮説検証のステップを踏んで原因除去をしていきます。コミュニケーション能力を向上させようとしたら、ノンバーバルスキルに問題があるのか、論理立てて説明するのが苦手なのか、それとも自分が言おうとしていることをシンプルに表現できないのか、専門家の意見を聞いたうえで改善のためのトレーニングを日常生活のなかで繰り返すことが、失敗から学ぶためのコツです。

失敗から学べる人は、世間一般で言われる学習能力が高いわけではありません。世間的には、偏差値の高い学校の学生や卒業生は学習能力が高いとされます。それが正しければ、東大の卒業生は失敗に強い人が多いはずです。しかし現実は、世の中でエリートと言われる人たちの中には、挫折に意外なほどもろい人もいます。なぜ失敗から学ぶ能力と偏差値で測定できる学習能力は違うのでしょうか?その理由は正解の有無です。偏差値で測定される学習では正解が事前に用意されていて、教えられた手順に従って、より早く正解にたどり着く能力が試されています。ところが社会で起きる失敗は、様々な環境と本人の性格や考え方の傾向などいろんな原因から生じるので、正解がありません。受験で求められる学習能力と、失敗から学ぶ学習能力は別物なのです。失敗から学ぼうとすれば、正解がない状態に耐えなければなりません。仮に失敗原因を見つけその解決方法を実行しても、成功するとは限りません。フィンランドで開発されたオープンダイアローグで提唱されている「不確実性に耐える」ことは、失敗から学ぶためには必要な心理的素養だと思います。