2016/11/15


こころの自立とメンタルタフネス




 メンタルのしなやかさと賢明さをメンタルタフネスと定義した時、メンタルタフネスに大きな影響を与える要因は何でしょうか? ある人はポジティブ・シンキングと言うでしょう。またある人はマインドフルネスやレジリエンスを挙げる人もいるでしょう。おそらく、たった一つの要因がメンタルタフネスを決めると主張する人はいないと思います。人間の心は複雑ですから、いくつかの要因が重なり合って、メンタルタフネスを作り上げていると思います。


しかし、メンタルコーチングの実践の場では、コーチは何かに絞ってコーチングをすることになります。選手のこころの成長の度合いに応じて、メンタルタフネスに良い影響を与える心理的要因をピックアップし、処方箋を準備します。講演や研修でここまで説明をしますと、勉強に来られた人たちの中から、「絶対に欠かせない要因は何か?」、というご質問をいただくことがあります。あくまで私見ですが、あえて必須の心理的要因を一つ挙げるとすれば、「こころの自立」だと思います。こころの自立とは、自分で考え、自らの意思で行動し、結果にたいして責任を持つ、一連のこころの動きを指します。したがって、私のコーチングは、自然と、選手の自立を求める方向を向いています。


 なぜ、自立を重視するか、という理由ですが、競技者が競技の場に立った時は、団体競技であろうと、個人競技であろうと、自分が責任をもって戦い抜くことになります。こころの自立なくして、メンタルタフネスはありえないと信じています。結果に対して全責任を担う覚悟ができれば、厳しいトレーニングにも、自主的に取り組めるようになり、トレーニング効果は、やらされ感でやっている選手に比べ、格段に高くなります。トレーニング効果が高まれば、セルフ・エフィカシーが高まり、勝つ確率が高まります。

選手のこころの自立を、どのようにサポートしていくのかについては、次回で説明をします。