2017/3/31
外向型リーダーの受難時代
外向型リーダーは、熱意を持って人を説得し、 チームが成功するため、ひたむきに活動を続けるでしょう。大勢の人間を前に、熱弁をふるい、誰に対しても社交性を発揮し、組織をグイグイと引っ張っていくでしょう。しかし、自立的な部下の持つ力を引き出すことが 苦手ですから、これからの時代は受難の連続かもしれません。なぜならば、ビジネスでは技術の変化が激しく、イノベーションなくして企業の維持発展が難しく 、イノベーションは指示待ち人間では引き起こせないからです。
1990年代までは外向型のリーダーがもてはやされ、内向型の人間にとって受難の時代でした。これからは、部下には、自分で考え、行動することが求められます。スポーツ界では、内向型指導者が注目されるようになっています。ニューヨークヤンキースを率いた名将ジョー・トーリは、彼の名著『覇者の条件』から推察すると、内向型人間です。サッカーの岡田武史さんとは一度会食をしたことがあり、その時のお話ぶりから察して、内向型だと思います。それでは外向型の人がリーダーになった時、どうすればいいのでしょうか?
私は5校の高校野球部のメンタルコーチをしていますが、監督のなかに外向型の人がいます。いずれも優れた監督ですが、自分の内面にある内向的な部分を意識的に引っ張り出してきて、内向型リーダーの持つ良さを、擬似的に演じています。本来の自分のパーソナリティではありませんので、相当苦労していますが、勝利のために、グッとこらえています。かって、内向型の人が、自分の中に潜む外向性を引っ張り出して、「ナンチャッテ外向型リーダー」を苦労しながら演じたように、「ナンチャッテ内向型リーダー」を演じることで、選手たちの自立を促しています。
完全な外向型や内向型の人は極めて少ないでしょう。私は、かなり偏った内向型の人間ですが、外向的なパーソナリティの要素を少し持っていますので、その乏しい要素を絞り出して、世間を四苦八苦しながら渡ってきました。外向型の人は、内向性を活かそうとすると、私のように四苦八苦する感じではなく、単に面倒くさい程度に感じる可能性はあります。