2012/10/22「『感じが悪い人』はなぜ感じが悪いのか?」について(1)


 2012年10月22日に講談社α+新書から、私の書いた「『感じが悪い人』はなぜ感じが悪いのか?」が出版されました。著者として、一人でも多くの方に読んでいただきたいと切望しています。

 おそらく、ほんとうに感じの悪い人は、私の本を読むことはないと思います。10年くらい前、人間関係を良くするためのスキル研修のトレーナーをしていました。回数を重ねていくうちに、研修参加者の大部分が、もともと人間関係をうまく作れる人たちで、今さら、トレーニングを受ける必要がないと思われる人だということに気づきました。不思議に思って、人間関係スキルの研究者にその理由を聞いたことがあります。その研究者は「人間関係をうまく作れる人は、もともと人間関係の大切さに興味をもっている人で、この種の研修が開催されると、すぐにそれが目につき、もっと知りたいと思って参加する。しかし、人間関係をうまくつくれない人は、人間関係に興味をもたないし、重要性すら認めていない。だから、開催することも知らないし、誘われても参加しようとしない」という返事でした。企業から強制的にトレーニングに参加させられた人もいたのですが、そのような人は、ほとんど例外なく、研修に対する評価も悪く、何も学ばずに会場を去っていきました。『ほんとうはあなたに一番学んでほしかった』と思いながら、彼らのうしろ姿を見送ったことがしばしばありました。もちろん私の研修トレーナーとしての技量不足も原因になっていたと反省もしています。

 「感じの悪い人」も同じ現象が起こるだろうと思っています。私の本を手に取る人は、感じの悪い人に会って大変な目にあったことがあり、かつ、「自分ももしかしたら感じが悪い人間かもしれない」と不安に思っている人だと推測しています。しかし、『自分は感じが悪い人間かもしれない』という思いが頭をよぎった瞬間、それだけで、感じの悪さは低くなります。短所を意識すれば、その短所がもたらす弊害は少なくなるからです。だから、私の本を読んでいただく方は、感じがよいと思われている人ばかりだろう、と考えているわけです。

 そうなると、私の本など、今さら読まなくてよいことになってしまいます。それは著者として困りますので、ここで本の宣伝をさせていただきます。 感じの悪さは、「素直じゃない」から始まり、「威張っている」「性格が悪い」「心が歪んでいる」、とどのつまりは「「悪人だ」までエスカレートします。世間的には、いずれにせよ、感じの悪いのは本人が問題だとされています。「ほんとうにそうなのだろうか?」という疑問が生まれたことがきっかけで、私はこの本を書き始めました。