2014/7/14サッカーのワールドカップ





 サッカーのワールドカップでは、連日素晴らしい試合が行われていました。プロフェッショナルの高度な技術や身体能力には目をみはります。スポーツ界で仕事をしていますと、プロフェッショナルの別のすごい能力に気づきます。それはプロの選手たちの勝敗を予測する能力です。試合前に、一流と言われる選手たちは、口には出さないものの、その日の勝ち負けを予想しています。「今日はダメだな」とか「今日はいける」という感じです。アマチュアであれば、「今日はダメだな」と思っていても、いざ試合になると結構うまくいったり、その反対もあります。一流のプロは、ほぼ100%に近いくらい正確に予測できます。試合の勝ち負けは、やってみないと分からないのですが、それでも百戦錬磨の選手たちは、ある予測をして試合に臨みます。それが意識していたり、無意識であることもあります。もしかしたら、無意識のほうが多いかもしれません。一流の芸術家であれば、作品の出来不出来は、完成前に予測できるのと同じです。一流の経営者も、100%とまではいきませんが、平凡な経営者よりも予測能力は高いです。試合前に勝つか負けるかを、相手の技量と自分のものとを比較して、予測できないようではとうていプロとは言えないでしょう。

 サッカー日本代表チームの選手たちも、コロンビア戦を前にして、こころの中では、この試合は勝てないな、と感じていたのではないかと思っています。彼らの表情がさえなかったことや、ザッケローニ監督の試合前の会見で、気落ちした表情から推察しています。プロフェッショナル達の予測の壁をどう打ち破るのかが、監督の大きな仕事になります。メンタル的には、監督のパッションと勝利への意志力です。理屈でプロ集団の選手たちを説得できません。理屈を超えたパッションと意志力だけが、内心で悪い結果を予測し、落ち込んだり、焦っている選手たちのこころに火をつけて、奇跡を起こします。名将と呼ばれる指導者は、まず、試合前に選手たちが勝つ予測ができるチーム作りをします。また、どうしても悪い結果しか予測できないような状態に陥っても、プロの予測の壁を打ち破れるパッションと意志力の持ち主といえます。