2011/11/8

創造性開発の難しさ(6)

結婚式をプロデュースする会社があります。結婚式の情報テーマは限られています。披露宴会場のデザイン、食事、結婚式の様式など、さまざまな要素がありますが、人生のポジティブな通過儀礼のお祝いをするというテーマに限定されています。音楽プロデューサーほど広い領域から情報を収集する必要はありません。ハードロックであれば、時には、怒りや抗議の感情を取り扱う必要がありますが、結婚式では、喜びや感傷など比較的狭い感情を取り扱います。音楽であれば、政治問題や民族問題を対象とする時はありますが、結婚式では、そのような問題を正面切って対象とすることはありません。ブライダルの専門家からの情報をもとに、イベント企画を立てたほうが、失敗は少ないでしょう。
たとえば、お祝いをいただいたときの受付のやり方などを間違えると、参加者のなかには不愉快に思う人も出てきます。しかし、参列者は老若男女さまざまで、すべての人がある一定以上の満足感をもって帰宅の途についていただく必要があります。この過程では、集団的思考法が有効です。




結婚式のプロデューサーは領域Ⅲの思考方法をとらないと、成功しないのではないでしょうか。通過儀礼としての厳粛さやマナーのなかで、さまざまな参加者が快適で、退屈しない演出をするとすれば、厳粛さやマナーは専門家の知識が必須ですし、その範囲のなかで堅苦しさを出さず、「楽しいね」と参加者に思ってもらうには、多様な意見からグッドアイディアを選択する過程が必要です。厳粛さやマナーを無視して、ひたすら奇抜さをねらったら、独りよがりで、不愉快な結婚式になるリスクが増えます。
私の個人的意見として、従来の創造性開発は、領域1のみに有効であり、その他の領域では、部分的に有効(領域ⅡとⅢ)であったり、まったく有効でなかったり(領域Ⅳ)すると思います。もし私が、創造性開発のプログラムを創れと言われたら、4つの領域別に創るでしょう。